これからWi-Fiルーター(無線LANルーター)を購入する、買い替えを検討されている方へ。単純にレビュー評価口コミがいいから、だけで選ぶ失敗するかもしれません。Wi-Fiルーターも多くの種類がありますが、自分にあったWi-Fiルーターを選ぶ際のチェックポイントを解説いたします。
Wi-Fiルーターの価格帯
Wi-Fiルーターは性能や販売時期などで価格が大きく異なります。3,000円台~20,000円台と幅があります。どれを選ぶべきなのか悩ましい所ですが、利用する場所の広さや、利用環境に応じて、無線ルーターの性能を絞り込みます。
マンション(集合住宅) | 戸建2階建 | 戸建3階建 | |
複数台で動画やゲーム | 10,000円台 | 15,000円台 | 20,000円台 |
高画質動画やゲーム | 8,000円台 | 10,000円台 | 15,000円台 |
軽く動画視聴 | 3,000円台 | 8,000円台 | 10,000円台 |
「ある程度通信できたら良い」という方は3000円台~8000円台でいいのではないでしょうか。
ただしエントリー向け(価格が安めの)製品を選ぶ際、機能・性能盛り盛りでないため、必要な性能を見落として購入すると、改めて買い替えが必要になってしまいます。
ではWi-Fiルーターのどういった点をチェックすると良いのか。
Wi-Fiルーターのチェックポイント
Wi-Fiルーターの性能を見るうえで、ここは押さえておきたいというポイントを解説します。
Wi-Fiの対応バージョン
Wi-Fiルーターは以下のようにバージョンがあります。新しいバージョンの方がより通信品質が向上したものになります。とはいえ、最新バージョンは最新機種しか対応していない場合が多い為、価格は高めになります。
以下表の下に行くほど新しいバージョンです。IEEE802.11n以降のバージョンは分かりやすくするため、Wi-Fi4、Wi-Fi5という通称がつけられました。
無線LAN バージョン |
通称 | 通信速度 (最大) |
周波数帯 | 概要 |
IEEE802.11b | – | 11Mbps | 2.4GHz帯 | 一番古い規格。電子機器との電波干渉に弱い |
IEEE802.11g | – | 54Mbps | 2.4GHz帯 | 11bの上位版だが電波干渉には弱い |
IEEE802.11a | – | 54Mbps | 5GHz帯 | 11gより電波干渉に強いが電波距離が短い |
IEEE802.11n | Wi-Fi 4 | 300Mbps | 2.4G帯/5GHz帯 | 2.4G帯と5G帯をカバーし高速化 |
IEEE802.11ac | Wi-Fi 5 | 6.9Gbps | 5GHz帯 | より高速化された規格だが、距離・遮蔽物に弱い |
IEEE802.11ax | Wi-Fi 6 | 9.6Gbps | 2.4G帯/5GHz帯 | 11a/b/g/n/acとの下位互換を持ちながら、高速化。2019年より展開された規格 |
光回線を利用するのであれば、Wi-Fiルーターは少なくともWi-Fi 4以上は対応しておきたいところです。
WANポート、LANポート
Wi-Fiルーターは電波を利用し無線通信するための機器ですが、大元はケーブルで接続します。
その大元(入口)となるのが、WANポートです。Wi-Fiルーターによっては「INTERNET」と書かれていることもあります。
WANポートは、通信するうえでの入口ともいえる、差込口ですが、この差込口の対応能力が低いと全体の速度も低下してしまいます。1Gbps以上の光回線を契約していても、Wi-FiルーターのWANポートが100Mbpsしか対応していなければ、上限が100Mbpsになってしまいます。
LANポートは有線接続する際の差込口で、家庭用ゲーム機や、テレビ、パソコンなどをLANケーブルで接続する際に利用します。ここも対応能力が低いと、LANケーブルで接続した機器の通信速度が低下してしまいます。
よって、Wi-Fiルーターを選ぶ際には、利用する光回線などの通信速度も考慮して、WANポート、LANポートがどこまで対応しているか確認して選択しましょう。
一部地域で提供が開始されている10Gbpsの超高速光回線サービスを利用であれば、Wi-FiルーターのWANポートは当然10Gbps対応でないと効果的に利用できませんので、注意が必要です。
アンテナ
Wi-Fiルーターは電波送信して、スマホや携帯ゲーム機、ノートパソコンと通信しますが、電波を送り出すためのアンテナがWi-Fiルーターには搭載されています。
アンテナはWi-Fiルーターによって形状が異なります。角のように、設計されているタイプもあれば、内蔵されているタイプもあります。
アンテナから電波を送り出すわけですが、Wi-Fiルーターによって、搭載アンテナの数が異なります。アンテナの数が多いほど、電波強度が強くなり、安定的に速度も出やすいと言えます。
部屋数が複数ある場合や、2階建て、3階建てなど階層のある戸建などは、アンテナの数が多い方が良いでしょう。逆に言えば、ワンルームマンションであれば、アンテナの数はそこまで気にしなくていいかもしれません。
その他機能
Wi-Fiルーターには他にも様々な通信状況を改善する機能を備えたものがあります。
ビームフォーミング
ビームフォーミングとは、電波を効果的に、利用する端末に向けて送信するという機能です。
ビームフォーミングなしだと、Wi-Fiルーターを中心に全方向に電波を送る状態となりますので、能力が分散してしまいます。
ビームフォーミングありだと、利用する端末に向けて電波を集中的に送るので電波が届きにくい場所でも通信速度が落ちにくくなる効果が期待でき効率的だといえます。
ただし、古いスマホ端末などで対応していない場合もあります。例えば、iPhone6より前の端末だと対応していない為、確認が必要です。
対応していないとWi-Fi通信できないわけではありませんが、対応していた方が効率的であるということです。
MU-MIMO(マルチユーザーマイモ)
まず、「MIMO(マイモ)」とは、無線通信を向上させる方式のことです。
一つのアンテナから送信できる信号は限られています。その送信の幅を増幅させて、送受信できるデータ量を増加させるのがMIMOです。これは複数のアンテナを利用し、受け側の端末で同時に送受信するという仕組みです。ただし、受け側の端末が複数台になると細かく時間を分けて、時間差で交互にデータ通信することになります。
MU-MIMOは、MU(マルチユーザー)-MIMOつまり、MIMOを複数同時に送受信できる方式です。複数台同時にデータ通信できる為、それそれの端末がストレスなく、通信しやすくなるというわけです。
このため、MU-MIMO対応のWi-Fiルーターの方が複数台同時通信に強いと言えます。が、これは受け側となる端末もMU-MIMO対応でないと、100%の恩恵が受けられませんので利用する端末がMU-MIMO対応かどうかも確認してみましょう。
おすすめWi-Fiルーター
Wi-Fiルーターのチェックポイントを踏まえて、市販されているWi-FiルーターでおススメのWi-Fiルーターを見てみましょう。
Wi-Fiルーターのメーカーとして人気が高いのが、バッファロー、NEC、アイオーデータ、TP-LINK、です。これらのメーカーを中心に見てみましょう。
おススメWi-Fiルーター(エントリースペック)
エントリースペックWi-Fiルーターでおススメの端末は以下3機種です。
価格帯が3,000円台で最低限の能力を備えた機種となります。コスパ的にはTP-LINK製ArcherC6ですが、NTT系光サービスを利用するのであれば、IPv6、IPoE接続対応のバッファロー製WSR-1166DHPL2が良いでしょう。
メーカー | バッファロー | TP-LINK | アイオーデータ |
型番 | WSR-1166DHPL2 | Archer C6 | WN-DX1200GR |
価格例 | 3,480円(税込) | 3,158円(税込) | 3,780(税込) |
Wi-Fi 最大速度 |
2.4GHz 300Mbps | 2.4GHz 300Mbps | 2.4GHz 300Mbps |
5GHz 866Mbps | 5GHz 867Mbps | 5GHz 867Mbps | |
Wi-Fi 対応規格 |
IEEE802.11ac | IEEE802.11ac | IEEE802.11ac |
IEEE802.11n | IEEE802.11n | IEEE802.11n | |
IEEE802.11a | IEEE802.11a | IEEE802.11a | |
IEEE802.11g | IEEE802.11g | IEEE802.11g | |
IEEE802.11b | IEEE802.11b | IEEE802.11b | |
内蔵アンテナ | 2本 | 5本 | 2本 |
ビームフォーミング | 対応 | 対応 | 対応 |
MU-MIMO | 対応 | 対応 | 対応 |
WANポート | 1000Mbps | 1000Mbps | 1000Mbps |
LANポート | 1000Mbps | 1000Mbps | 1000Mbps |
IPv6 | IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) | – | IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) |
サイズ | 55×159×130mm | 230×144×35mm | 151×80×156mm |
おススメWi-Fiルーター(ミドルスペック)
つづいて、ミドルスペックWi-Fiルーターはのおススメは以下3機種です。
11axまで対応しなくてもいいが、Wi-Fiスピードを強化したい場合はNEC製Aterm WG2600HM4です。Wi-Fi6(11ax)に対応したいなら、バッファロー製WSR-5400AX6か、TP-LINK製Archer AX73がおススメです。
メーカー | NEC | バッファロー | TP-LINK |
型番 | WG2600HM4 | WSR-5400AX6 | Archer AX73 |
価格例 | 10,960 税込 | 15,800 税込 | 13,535 税込 |
Wi-Fi最大速度 | 2.4GHz 800Mbps | 2.4GHz 573Mbps | 2.4GHz 574Mbps |
5GHz 1733Mbps | 5GHz 4803Mbps | 5GHz 4804Mbps | |
Wi-Fi対応規格 | – | IEEE802.11ax | IEEE802.11ax |
IEEE802.11ac | IEEE802.11ac | IEEE802.11ac | |
IEEE802.11n | IEEE802.11n | IEEE802.11n | |
IEEE802.11a | IEEE802.11a | IEEE802.11a | |
IEEE802.11g | IEEE802.11g | IEEE802.11g | |
IEEE802.11b | IEEE802.11b | IEEE802.11b | |
内蔵アンテナ | 8本 | 6本 | 6本 |
ビームフォーミング | 対応 | 対応 | 対応 |
OFDMA | 非対応 | 対応 | 対応 |
MU-MIMO | 対応 | 対応 | 対応 |
WANポート | 1000Mbps | 1000Mbps | 1000Mbps |
LANポート | 1000Mbps | 1000Mbps | 1000Mbps |
IPv6 | IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) | IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) | IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) |
サイズ | 38×129×170mm | 59×177×175mm | 272.5×147.2×49.2 mm |
おススメWi-Fiルーター(ハイスペック)
最後にハイスペックWi-Fiルーターを見てみましょう。
ハイスペック端末の最大の特徴はWANポートが10Gbps対応、Wi-Fi6対応で、内蔵アンテナも複数装備し、Wi-Fiの通信速度も高速化されている点です。
詳しく見てみましょう。
メーカー | バッファロー | NEC | アイオーデータ |
型番 | WXR-6000AX12 | WX6000HP | WN-DAX3600XR |
価格例 | 38,280 税込 | 31,680 税込 | 24,211 税込 |
Wi-Fi最大速度 | 2.4GHz 1147Mbps | 2.4GHz 1147Mbps | 2.4GHz 1150Mbps |
5GHz 4803Mbps | 5GHz 4804Mbps | 5GHz 2402Mbps | |
Wi-Fi対応規格 | IEEE802.11ax | IEEE802.11ax | IEEE802.11ax |
IEEE802.11ac | IEEE802.11ac | IEEE802.11ac | |
IEEE802.11n | IEEE802.11n | IEEE802.11n | |
IEEE802.11a | IEEE802.11a | IEEE802.11a | |
IEEE802.11g | IEEE802.11g | IEEE802.11g | |
IEEE802.11b | IEEE802.11b | IEEE802.11b | |
内蔵アンテナ | 8本 | 12本 | 4本 |
ビームフォーミング | 対応 | 対応 | 対応 |
OFDMA | 対応 | 対応 | 対応 |
MU-MIMO | 対応 | 対応 | 対応 |
WANポート | 10000Mbps | 10000Mbps | 10000Mbps |
LANポート | 10000Mbps ×1ポート 1000Mbps ×3ポート |
1000Mbps ×4ポート | 10000Mbps ×1ポート 1000Mbps ×3ポート |
IPv6 | IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) | IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) | IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6) |
サイズ | 300×195×75mm | 51.5×215×200mm | 238×84×248mm |
バッファローのWXR-6000AX12S
こちらはフラグシップモデル(最先端モデル)です。
つまり、超盛り盛りスペックとなります。Wi-FiはWi-Fi6対応で最大4,803Mbps、WANポートが10Gbps、IPv6及びIPoE対応です。気になるお値段は約36,000円!!
WANポートが10Gbps対応なので、光回線が5Gbps以上の契約をされている方向けといえます。1Gbpsや2Gbpsの光回線であれば、オーバースペックですね・・・。ここまで盛り盛りでなくても良いかもしれません。
アイオーデータのWN-DAX3600XR
Wi-FiはWi-Fi6対応で最大2,402Mbps、WANポートが10Gbps、IPv6及びIPoE対応です。
バッファローのWXR-6000AX12Sと比較すると、Wi-Fi部分が控えめのスペックですが、数少ない10Gbps対応モデルですので、有線接続をメインとするのであれば、こちらもアリです。
価格は約23,000円です。
NECのAterm WX6000HP
NECのハイスペックルーターですが、WANポートは10Gbps対応であるものの、LANポートが1Gbps対応のみと物足りなさを感じる仕様です。ただ、その分Wi-Fiの強度あげている仕様で、Wi-Fi特化ならこの機種もありかもしれません。
まとめ
宅内でのネット環境はライフラインとなった今、Wi-Fi接続する機器も増え、要となるWi-Fiルーターが利用している環境に適したものでなければ、快適に通信することはできません。
環境に応じて適したWi-Fiルーターを選ぶことが重要です。
もし、現在利用中のWi-Fiルーターで速度が遅い、繋がりにくと不満なら、Wi-Fiルーターから見直してみると快適なWi-Fi環境への近道かもしれません。