2020年10月28日、ソフトバンクとauを運営するKDDIはそれぞれ、新料金プランを発表しました。
これは、政府によるスマホ料金値下げ要請に対しての対応とみられます。
今回の新プランにより、ユーザー側としてどのような変化があるのか、安くなるのか?ソフトバンク、au、ドコモそれぞれの現行プランと合わせて比較検証してみましょう。
ソフトバンクの新プラン
ソフトバンクが発表したのは、ワイモバイルの「シンプル20」というプランです。
ソフトバンクは、「ソフトバンク」と「ワイモバイル」というマルチブランド展開しており、ハイスペック路線は「ソフトバンク」、エントリースペック路線は「ワイモバイル」というすみ分けをしています。
今回は「ワイモバイル」での新プランとなります。
ワイモバイルは現在「スマホベーシック」のS、M、Rというデータ容量に応じて3プラン展開しています。
新プランの「シンプル20」は「スマホベーシック」とは別枠のプランとして用意されています。
「シンプル20」の料金概要
新プラン「シンプル20」の料金概要は以下の通りです。
提供開始時期は2020年12月下旬を予定しています。
月額利用料 | 4,480円 |
---|---|
高速データ通信容量 | 20GB |
高速データ通信容量 超過時の通信速度 |
1Mbps |
通話料 | 10分以内の国内通話は無料 |
※ 1回当たり10分を超える国内通話は、10分超過分に20円/30秒の通話料が別途かかります。また、一部無料対象外の通話があります。
ワイモバイル現行サービスとの比較
ワイモバイル現行サービス「スマホベーシックプラン」と「シンプル20」を比較すると以下のようになります。
プラン | スマホベーシックプラン | シンプル20 |
||
---|---|---|---|---|
S | M | R | ||
月額料金 | 2,680円 | 3,680円 | 4,680円 | 4,480円 |
データ容量 | 3GB | 10GB | 14GB | 20GB |
通話 | 1回10分以内の通話 何度でもかけ放題 | |||
データ容量 超過時の 通信速度 |
最大300Kbps | 最大1Mbps | 最大1Mbps | 最大1Mbps |
各種割引 | 「データ増量オプション」「新規割」「おうち割 光セット」「おうち割 でんきセット」「家族割引サービス」適用可 | 左記割引 適用不可 |
ワイモバイルでは最大14GBまでのプランしかありませんでしたが、20GBの大容量プランで、14GBプランよりも安く価格設定されています。
ただし、「スマホベーシックプラン」で適用可能な、家族割引や光回線とのセット割引などが適用対象外となっているため注意が必要です。
KDDIの新プラン
では続いて、KDDIが発表した新プランを見てみましょう。
auを展開しているKDDIは2020年10月より、グループ会社である、UQコミュニケーションズから「UQモバイル」事業をKDDIに移管しました。よって、KDDIもソフトバンク同様に「au」「UQモバイル」というマルチブランド展開になりました。
KDDIが今回発表したプランは「UQモバイル」ブランドの「スマホプランV」です。
「スマホプランV」の料金概要
新プラン「スマホプランV」の料金概要は以下の通りです。
提供開始時期は2021年2月以降を予定しています。
月額利用料 | 3,980円 |
---|---|
高速データ通信容量 | 20GB |
高速データ通信容量 超過時の通信速度 |
1Mbps |
UQモバイル現行サービスとの比較
UQモバイル現行サービス「スマホプランS,R」と「スマホプランV」を比較すると以下のようになります。
プラン | スマホプラン | ||
---|---|---|---|
S | R | V |
|
月額料金 | 1,980円 | 2,980円 | 3,980円 |
データ容量 | 3GB | 10GB | 20GB |
通話 | 20円/30秒 | ||
データ容量 超過時の 通信速度 |
最大300Kbps | 最大1Mbps | 最大1Mbps |
各種割引 | UQ家族割 適用可 |
UQモバイルは、最大10GBのプランが一番大容量とプランでしたが、ここに20GBのプランが追加されたことになります。
ワイモバイルと異なり、家族割引は現行プランと同様に「スマホプランV」でも適用可能です。
ワイモバイルと比較すると、UQモバイルの方が料金面は安く設定されていますが、ワイモバイルは10分間通話し放題のサービスが標準で備わっているため、その分UQモバイルと金額差がでています。
UQモバイルも同様の通話オプションを付帯すると+700円の4,680円となり、この場合はワイモバイルの方が安いと言えます。
UQモバイルでの通話オプションは以下の通りです。
国内通話 かけ放題 |
国内通話 10分かけ放題 |
最大60分/月の 国内通話が定額 |
---|---|---|
24時間いつでも かけ放題 | 10分/回 かけ放題 | 60分/月 通話パック |
たくさん電話する方向け | 短時間の電話をよくする方向け | 時々長電話する方向け |
オプション料金 1,700円/月 |
オプション料金 700円/月 |
オプション料金 500円/月 |
値下げではなかった?
ワイモバイル、UQモバイル何れも、値下げということではなく、新たなプランを追加したということになりますが、こうなるとユーザー側としては選択が増えたことになります。
選択肢が増えることは良いことである反面、自分にあったプランがどれか分かりにくくなることもあります。
そこで、ワイモバイル、UQモバイルとソフトバンク、au、ドコモ各ブランでそれぞれ現在展開されている料金プランと比較してみましょう。
新プラン含めた各社の各プラン比較一覧
ソフトバンク、ワイモバイル、au、UQモバイル、ドコモのスマホプラン概要を一覧にまとめました。
ソフトバンクの料金プラン
ソフトバンクは現在、メリハリプランとミニフィットプランの2プランでサービス展開しています。以前ソフトバンクで展開していた、ギガモンスターの後継プランがメリハリプランです。
月間50GBまでたっぷり使えて、YouTubeなど主要な動画SNSの通信データはノーカウントです。月間2GB以下だった場合は自動的に1,500円割引きされます。
ミニフィットプランは段階式のプラン設定で、月間使用量に応じて料金が変動します。
auの料金プラン
auは、データMAXプランで上限なしの使い放題プランです。ただし、テザリングでの使用は月間30GBまでとなりますのでポケットWiFiのような使い方には限度があります。
ピタットプランは段階式のプランで、月間使用量に応じて料金が変動します。
ドコモの料金プラン
ドコモは、大容量プランとして、ギガホを展開しており、ソフトバンクやauと比較すると少し安めの設定ですが、月間30GBまでと若干の物足りなさを感じます。
また今回ワイモバイルとUQモバイルが発表した20GBプランが5,000円以下ですので、ドコモギガホが高く映りますね。
ギガライトはソフトバンクやauも展開している段階式プランです。
家族割引を適用して比較すると
大手キャリアはそれぞれ家族で契約すると月額料金が割引される、家族割引が存在します。契約人数(台数)に応じて、一台当たりの割引額が変動したりします。
この家族割引を適用した場合、料金差がどのくらいあるのか見てみましょう。
月額料金の安い上位3位までを青文字で、下位3位までを赤文字で表しています。
各社契約人数によって割引額がそれぞれ異なりますが、ワイモバイルとUQモバイルは基本料金が安く設定されている分、割引額も小さく一定です。
金額のみで見ると、UQモバイルが安く見えます。逆にソフトバンクは高く見えますが、動画SNSノーカウントサービスが付いていますのでその分、価格差に表れているようです。
自宅のインターネットサービスのセット割で比較
大手キャリアでは自宅のインターネットサービスを組み合わせてセット割引を適用できるものがあります。それぞれ対象となるインターネットサービスが限定されていますのでお住まいの住居によって限定される部分もありますが、セット割引に関しても考慮しておきたいところです。
ただし、スマホのプランによって、セット割引を適用できるプランとできないプランがありますので、合わせて比較してみましょう。
5ブランドの中で、UQモバイルのみインターネットサービスとのセット割引がありません。が、セット割引きを考慮しても金額面ではUQモバイルが安い結果となります。
では、家族割引とセット割引の両方を組み合わせるとどうでしょうか?
家族割引&セット割引で比較すると?
ソフトバンク、au、ドコモは家族割引もセット割引も割引額が大きいため、逆転して安くなるかもしれませんよね。
比較表を見てみましょう。
結果は、金額的にはUQモバイルが最安ということに。
もちろん金額だけの話です。ソフトバンク、au、ドコモの大容量プランも家族割引、セット割引を盛り盛りに適用すると、ワイモバイルやUQモバイルとの金額差が縮小されます。
それでいて大容量のデータ通信が可能となりますので、この辺はバランスを見ての判断となるかもしれません。
1枚の表にまとめると、細かくなりますが、以下の通りです。
全体的に見てみると、通話オプションなどを最初から省き、シンプルなプラン構成のUQモバイルが料金的には安いようです。
結局、新プランによって安くなるの?
ワイモバイル、UQモバイルの新プランによって選択肢が増えたことは間違いありませんが、それで安くなるのか。
利用者側の毎月のデータ使用量によって、料金プランが変動しますのでデータ使用量で並び替えて見てみましょう。
月間3ギガまでのデータ通信なら、UQモバイルが一番おトクと言えます。
月間3~5ギガまでのデータ通信なら、ワイモバイルが一番おトクに。
月間5ギガ以上であれば、UQモバイル「スマホプランR」か、新プラン「スマホプランV」。10分間電話かけ放題を利用したいならワイモバイルの新プラン「シンプル20」がおトクといえそうです。
20ギガ以上たっぷり利用するとなれば、auのデータMAX 4G LTEが良いかもしれませんが、割引なしで単独利用するとなると、7,480円となりますので、沢山利用する方は宅内に光回線を用意して、宅内はWi-Fiで利用して、スマホは安めのプランに抑えるという組み合わせがおススメです。
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月間5ギガ~20ギガほどの利用ユーザーならワイモバイルまたは、UQモバイルの新プランにすることでおトクになる可能性はあります。
しかし、元々あまり利用していないユーザーやヘビーユーザーにとっては、安くなったというより、あまり関係ないというのが結論かもしれません。
せっかくの機会ですので、今一度現在の利用状況を踏まえて料金プランを見直してみてはいかがでしょうか。